歯周外科

歯周病の歯

比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ治療で治すことができます。

しかし、歯周病が進行した場合、歯周病の治療で歯ぐきを切開することがあります。

手術することで、深い歯周ポケット内部の清掃や破壊された骨や歯肉のかたちを改善、再発予防のために歯肉の改善を行うことができます。

しかし、歯肉の奥まで炎症が進行し破損が著しい時は歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)が必要です。

この手術の際に、エムドゲイン、イージーグラフト、GTRなどの歯周組織再生誘導材料という、失われた歯槽骨を再生させる材料が使われることもあります。

リグロスの特性

  • 世界初の歯周組織再生医薬品です。
  • 遺伝子組み換えヒトbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)製剤です。
  • エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)対照比較試験の主要評価項目である新生歯槽骨の増加量において、EMDに対するリグロスの優越性が認められました。
  • 歯槽骨、セメント質及び歯根膜の再生を促進し、結合組織性付着を形成させます。
  • リグロスは用時溶解型のキット製剤で、適度な粘調性を有する外用液剤です。
  • 副作用
    リグロスが投与された安全性評価対象症例429例中3例(0.7%)に副作用が認められました。その内訳は適用部位における歯肉白色化、歯肉紅斑、歯肉腫張及び頭痛が各1例(0.2%)でした。臨床検査値異常は429例中51例(11.9%)に認められ、その主なものは尿中アルブミン陽性27例(6.3%)、尿中β2ミクログロブリン上昇17例(4.0%)、尿中NAG上昇16例(3.7%)、CRP上昇6例(1.4%)でした。

リグロスを使った歯周病治療

リグロス

当院では世界初の「歯周組織再生医薬品」である『リグロス』を使用した歯周病治療を行っております。

リグロスⓇ歯科用液キットは、遺伝子組換え技術により大腸菌を用いて製造したヒト塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor(bFGF)、一般名:トラフェルミン(遺伝子組換え))を有効成分とする歯周組織再生剤です。

bFGFは、線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞及び表皮細胞など創傷治癒に関わる種々の細胞に対して遊走や増殖促進作用を有し、臨床試験において褥瘡、皮膚潰瘍に対する有効性及び安全性が確認され、フィブラストⓇスプレーの販売名で2001年6月より発売されています。

またbFGFは、非臨床試験において歯周組織欠損部の未分化間葉系細胞、歯根膜由来細胞に対して増殖促進作用及び血管新生促進作用を示し、これらの作用により増殖した細胞は骨芽細胞、セメント芽細胞へと分化し、歯槽骨、セメント質及び歯根膜の新生や結合組織性付着の再構築により歯周組織の再生を促進することが明らかになりました。

当院ではエムドゲインに替わって、リグロスを使用して歯周外科治療を行っています。

歯周外科手術とリグロスの投与

STEP1 炎症性肉芽組織、歯垢、歯石の除去

スケーリング及びルートプレーニング等により、歯槽骨の骨内欠損部に付着した炎症性肉芽組織を除去し、歯根面に付いた歯垢や歯石を十分に除去する。

炎症性肉芽組織、歯垢、歯石の除去

STEP2 滅菌生理食塩液での洗浄

滅菌生理食塩液で十分に洗浄します。

STEP3 歯槽骨欠損部へのリグロスの塗布

歯槽骨欠損部へのリグロスの塗布

欠損底部を起点にし、、歯槽骨欠損部を満たす量のリグロスを塗布します。

STEP4 縫合・抜糸

広範囲を安定して縫合するのに適した縫合材を用いて縫合を行います。手術日から1~2週間後に抜糸を行い治療終了です。

縫合・抜糸

GTR法による歯周病治療

GTR法とは、歯と歯槽骨(土台)をつなぐ組織である「歯根膜」の力で骨を再生し、健康な歯と歯肉の関係にする下記的な治療法です。

ジーシーメンブレンを使用したGTR法

ジーシーメンブレン

ジーシーメンブレンは、摘出手術をしない生体吸収性膜です。患者さんに負担の少ないタイプです。

STEP1

img01

歯周病になると歯周組織が失われ、歯が植わっている歯槽骨(土台)もどんどんやせ細り歯がグラグラしてきます。

STEP2

img02

プラークや歯石を除いた後、歯根膜が再生しやすいように、バリヤー膜を設置してスペースをつくります。
ジーシーメンブレンは、生体吸収性膜なので1回の設置手術で治療します。

STEP3

img03

歯根膜の力で骨を再生し健康な歯と歯肉になります。
ジーシーメンブレンは、歯根膜が再生する間(約6週間位)だけバリヤー膜をして働きそのあとは組織内に吸収されてなくなります。

歯周内科へ